新体制となった日本専門医機構(吉村博邦理事長)が11日、2回目の理事会を開き、来年度の新専門医制度の対応を7月中に決定する方針を固めた。
理事会終了後に会見した吉村理事長によると、今月20日に基本19領域の協議会で医師偏在防止対策について議論した後、日医・四病協が設置を求めていた「精査の場」と理事会を続けて開催し、来年度の方針を議論。25日の社員総会で正式決定する。「精査の場」は、学会推薦以外の理事を中心に、公衆衛生の専門家として地域医療機能推進機構の尾身茂理事長を加えた構成とする。
また理事会では、機構は学会と協同で専門医制度を構築し、学会は学術的内容に責任を持ちプログラムを作成することや、機構の役割について(1)専門医制度を学術的な観点から標準化、(2)専門医を公の資格として認証、(3)専門医のデータベースを各学会と共同で作成─との共通認識を得たとした。
このほか、新専門医制度の進捗状況を確認した。現在、基本19領域のプログラムの一次審査を終了。定員は約1万9000人に上る。会見で松原謙二副理事長は「専攻医は約8000人なので都会に集中してしまう」と懸念し、地域偏在が起きない方法を検討する考えを強調。また将来的には機構が認定する専門医のみ広告可能な専門医(用語解説)となることを目標にする考えも示した。
〔訂正〕 No.4811(7月9日号)「日本専門医機構の新理事長に吉村博邦氏」の記事中、吉村氏の略歴に「日本外科学会、日本呼吸器学会の理事を歴任」とあるのは誤りにつき削除します。
●用語解説
【広告可能な専門医】
厚労省は2002年、専門医に関する広告規制を緩和。外形基準(法人格を有する、会員数1000人以上、5年以上の研修の受講、更新制など)を満たす団体が認定した専門医を広告可能とした。これを契機に学会専門医が乱立。専門医の質が担保されていないとの課題が指摘されている。