【Q】
グルカゴンとインスリンは互いに拮抗するホルモンであるという定説を覆すデータが最近出たと聞いた。その詳細を。 (東京都 S)【A】
生理学の教科書にはグルカゴンは肝臓の糖産生を促進し,血糖値を上昇させるホルモンだと記載されている。しかしながら,そう単純でないことが最近報告された(文献1)。この報告によると,グルカゴンは肝臓に直接作用すると糖産生を促進するが,血液脳関門を通過したグルカゴンが視床下部を刺激すると,迷走神経を介して再び肝臓に作用し(脳─肝臓連関),今度は糖産生を抑制することが明らかとなった。肝臓への直接作用に比べ,脳を介した作用は30~60分程度遅れて起きることから,グルカゴンはいったん上昇させた血糖値を下げる作用も併せ持つことになり,単純なインスリンの拮抗ホルモンではない可能性が示唆される。
1) Mighiu PI, et al:Nat Med. 2013;19(6):766-72.
2) Edgerton DS, et al:Nat Med. 2013;19(6):674-5.