株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

禁煙と血中ビリルビン値の関係

No.4762 (2015年08月01日発行) P.67

勝木美佐子 (一般財団法人健康医学協会附属 東都クリニック内科)

平野正憲 (三軒茶屋病院顧問)

登録日: 2015-08-01

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

禁煙により血中T-Bil(総ビリルビン)が高値になる機序を。 (東京都 S)

【A】

ご質問を正確に述べれば,喫煙でT-Bilが低値を示し,禁煙によりT-Bilが上昇する変化(値は正常域内)についてかと思います。
ビリルビンは,生理的濃度で抗酸化作用を示すことが知られています(文献1)。その抗酸化作用は,手術侵襲,細菌毒素(lipopolysaccharide:LPS),虚血再灌流障害,精神的ストレスなど多種のストレスにより生成される活性酸素をビリルビンが消去することによるとされています(文献2)。
さて,喫煙についてですが,たばこ1本の喫煙によって100兆個の活性酸素が発生し,25~100mgのビタミンC(抗酸化作用を有する)が破壊されると言われています。同様に,ビリルビンも活性酸素を消去するため,過剰に消費され減少することが考えられます。
喫煙者では,一部のヘモグロビンが喫煙で発生する一酸化炭素に使われるため,反応的にヘモグロビンが増加します。ビリルビンはヘモグロビンの代謝産物のため,喫煙者のビリルビンは増加するのではないかと考えられていましたが,実際のところ喫煙者と非喫煙者のビリルビン値を比較した場合,喫煙者のビリルビン値が有意に低値になりました。喫煙者,非喫煙者,禁煙者の比較においても,総ビリルビン値が,非喫煙群>禁煙群>喫煙群の順であるとの報告(文献3,4) があります。
禁煙で活性酸素の生成が減少し,すなわち,活性酸素の除去に消費されるビリルビンが減少したことにより,血中T-Bilが高値になることが推測されます。

【文献】


1) Stocker R, et al:Science. 1987;235(4792):1043-6.
2) 山口登喜夫, 他:生物資料分析.2009;32(4):281-8.
3) 勝木美佐子, 他:人間ドック.2014;(1):9-14.
4) Van Hoydonck PG, et al:Int J Epidemiol. 2001;30(6):1465-72.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top