【Q】
ビタミンK不足により,新生児に頭蓋内出血が起こりやすくなり死亡例が増えることはよく知られていますが,人類の進化の過程で,ビタミンKを得る仕組みや自然選択は働かなかったのでしょうか。現在のビタミンKに関する研究動向を教えて下さい。 (兵庫県 M)【A】
ビタミンKは,2-メチル-1,4-ナフトキノン環の3位にイソプレニル側鎖を持つ化合物の総称名です。一般には,血液凝固に必要なビタミンとして知られています。天然には,植物の葉緑体に豊富に含まれる1種類のフィロキノン(K1)と,細菌が産生する14種類のメナキノン類(MK)が存在します。K1は植物の光合成過程でphotosystemⅠにおけるsecondary electron acceptorとして働きます。一方,MKは細菌の電子伝達鎖における低電位可逆性レドックスコンポーネントとしてATP産生や電解質輸送に関与します。
1) Nakagawa K, et al:Nature. 2010;468(7320):117-21.
2) Hirota Y, et al:J Biol Chem. 2013;288(46):33071-80.
3) 岡野登志夫, 編:ビタミンKと疾患─基礎の理解と臨床への応用. 医薬ジャーナル社, 2014.