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死体検案書作成前に法医解剖を行った場合の検案書の書き方は?

No.4799 (2016年04月16日発行) P.63

岩瀬博太郎 (東京大学大学院医学系研究科法医学・医事法学教授)

登録日: 2016-04-16

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

これまで死因不明の遺体の法医解剖を実施する際,検案した医師は死因の種類を「死因不詳」とする死体検案書を作成してそのコピーをつけて法医解剖に送っていました。しかし最近,法医解剖に先立ち死体検案を行うので,死体検案書は必要ないと言われるようです。そこで,最初に遺体を検案した医師は,法医解剖の結果が出た後に解剖の所見に基づいた死因で検案書を作成すべきなのか,従来のように死因不詳のままで,解剖の主要所見を追加記入すればよいのか教えて下さい。 (鹿児島県 K)

【A】

地域により運用は異なると思いますが,想定されうる方法を以下に記載します。
解剖を実施することが確実な場合,解剖を実施した機関以外の医師は関与せず,解剖を実施した医師が死体検案書を作成するという方法があります。一方,解剖前に死体の検案を行った医師がいる場合,その医師が死体検案書を発行するということも実際行われています。その場合,死亡の原因については予測される死因を記載する場合もあれば,不詳と記載する場合もあり,いずれの場合も問題ないと考えられます。一方で,死因の種類については「12 不詳の死」としておくのがよいでしょう。また,解剖欄については「有」とし,司法解剖,行政解剖,死因・身元調査法に基づく解剖など,いずれが実施される予定であるかなどを記載しておくとよいでしょう。このとき発行された死体検案書は,埋葬許可証の発行の際に使用されることになります。その後,しばらく経って,ご遺族が保険金の請求などを目的とし,解剖結果をふまえた死体検案書が必要となった際には,解剖を実施した機関に請求され,そこで2通目の死体検案書が発行されることになります。

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