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非劣性試験の正しい見方 [J-CLEAR通信(43)]

No.4706 (2014年07月05日発行) P.46

折笠秀樹 (富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・臨床疫学教授,J-CLEAR評議員)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • ┃非劣性試験の登場

    日本における過去の治験では,既承認薬との同等性試験がよく行われていた。そこでは,結果が非有意(not significant:n.s.)であることにより同等と結論していた。しかし,それは問題だということが言われるようになった。質の低い試験を,また少数例の試験を実施すると結論はn.s.になるからである。
    そこで,同等性試験の評価の見直しが行われるようになった。それは日米EU医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use:ICH)の中に組み込まれ1),ICH-E10ガイドライン「臨床試験における対照群の選択とそれに関連する諸問題」として2000年に完成した。その際,同等性試験に加えて,非劣性試験という概念が登場した。その後,非劣性試験は急速に増え続けている(図1)2)

    ┃非劣性の立証法

    プラセボに対する優越性はゼロを起点に評価するが,標準薬に対する非劣性はマージン(Δ)を起点に評価する。図2 3)に示したように,95%信頼区間下限がゼロを超えていれば「優越性(superior)」,Δを超えていれば「非劣性(noninferior)」と評価する。これを見てすぐわかるように,非劣性のほうが立証するのは容易である。なぜなら,新薬群にΔ分を上乗せした上で標準薬群と勝負(検定)しているからである。

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