(質問者:岐阜県 K)
まず,歯科医師が死亡診断書を作成・交付すること自体は問題ありません。歯科医師法施行規則第19条の2第1項柱書は,「歯科医師は,その交付する死亡診断書に,次に掲げる事項を記載し,記名押印又は署名しなければならない」と規定しており,歯科医師が死亡診断書を作成することがあることは当然の前提とされています。このことは,昭和23年に施行された歯科医師法では第19条第3項に「歯科医師は,死亡診断書を交付してはならない」と規定されていたものの,同項は昭和28年8月の改正で削除されるに至った歴史的経緯からも裏づけられます。
死亡診断書と似た書面として,死体検案書があります。書式は同一で,標題部に「死亡診断書(死体検案書)」と記載され,不要なほうを二重の横線で消して使用するとされています。もっとも,死亡診断書とは異なり,死体検案書は医師のみが作成でき,歯科医師は作成できないとされています。
死亡診断書と死体検案書の使いわけについてですが,①診療継続中の患者以外の者が死亡した場合,または,②診療継続中の患者が診療に係る傷病と関連しない原因により死亡した場合は,死体検案書を発行するものとされています1)。これを換言すれば,①’死亡者が傷病で診療継続中であった患者であり,かつ,②’死亡の原因が診療に係る傷病と関連したものである場合に限り,死亡診断書が発行されることになります。すなわち,これ以外の場合は死体検案書を発行すべきであり,歯科医師が取り扱う領域ではない,という結論になります。
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