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多様になってきた関節リウマチ治療の選択肢

No.4712 (2014年08月16日発行) P.54

藤尾圭志 (東京大学アレルギー・リウマチ内科講師 )

山本一彦 (東京大学アレルギー・リウマチ内科教授)

登録日: 2014-08-16

最終更新日: 2016-10-26

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関節リウマチ(RA)は,関節滑膜に炎症を生じ骨破壊に至る破壊性関節炎である。従来は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)しか使えず,RA症例の2~3割にしか良好なコントロールが達成できなかった。
しかし,1998~99年に米国において抗TNF製剤のエタネルセプトとインフリキシマブが使用可能になり,RA症例の5~6割において良好なコントロールを達成できるようになってきた。特に骨破壊進行については,抗TNF-α抗体製剤は従来のDMARDsの数分の1にまで抑制することが可能となった。その後,抗IL-6受容体抗体のトシリズマブ,CTLA4-Igのアバタセプトが承認されたことで,日本では2014年現在,5種類のTNF阻害薬を含む7種類の生物学的製剤が使用可能となっている。
これらの製剤の登場によりRAの治療目標は臨床的な症状の消失,すなわち寛解となり,寛解もしくは低疾患活動性を達成するまで治療を強化するtreat to target(T2T)という治療戦略が提唱されている(文献1)。さらに,キナーゼなどをターゲットとした低分子化合物の開発も世界中で進められており,既にヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬が日本においても使用可能となっている。これら各種薬剤の治療反応性が症例ごとに異なることも明らかとなってきており,その違いを生ずる仕組みを調べることで,病態の理解と新たな治療法につながることが期待される。

【文献】


1) Smolen JS, et al:Ann Rheum Dis. 2010;69(4): 631-7.

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