心房の中で風船を膨らませ高周波を流して心房細動の発生源を焼灼する「高周波ホットバルーンカテーテルアブレーション法」が、4月から保険適用になった。高周波ホットバルーンカテーテル(図1、2)は、葉山ハートセンター(神奈川県葉山町)副院長で不整脈センター長の佐竹修太郎氏が開発した国産のデバイス。従来から行われている電極カテーテルを使ったアブレーション法に比べて、安全性と根治率が高い治療として注目されている。
従来型のカテーテルアブレーション法は、大腿静脈より2~3mmの電極カテーテルを心房内に入れ、頻拍の発生源をピンポイントで焼灼する方法である。WPW症候群のように頻拍の発生源が1~2カ所である場合には、電極カテーテルで1~2時間で焼灼でき、効果と安全性が認められている。
しかし、心房細動は、4本の肺静脈周辺に異常な電気の渦が何カ所も発生していることが多く、電極カテーテルでは数十回から100回の焼灼が必要となる。熟練した術者でなければ焼灼は難しく、施術3~5時間、透視40~80分と長時間に渡るのが難点だった。また、電極の接触温度がコントロールできないため、食道穿孔、心タンポナーデ、血栓発生による脳梗塞などの合併症が5%程度発生している。
このような欠点を克服するために佐竹氏が開発したのが高周波ホットバルーンカテーテルだ。ホットバルーンでは電極の10倍の範囲を一度に隔離・焼灼できる。心房細動の発生源をすべて焼灼しても、施術は1.5~2時間、透視も20~30分で済む。
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