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母体血胎児染色体検査

No.4741 (2015年03月07日発行) P.49

早田 桂 (岡山大学産科・婦人科)

平松祐司 (岡山大学産科・婦人科教授)

登録日: 2015-03-07

最終更新日: 2016-10-26

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胎児染色体異常に対して,羊水検査,絨毛検査は確定診断のための検査である。一方,胎児超音波検査,母体血清マーカー検査および母体血胎児染色体検査(non-invasive prenatal genetic testing:NIPT検査)は,いずれも確定診断のための検査ではなく,罹患の危険性を推測するための検査である。
出生前診断において,いずれの検査を用いるかについては,診断の対象となる疾患と妊婦の妊娠週数を考慮して,適切な遺伝カウンセリングのもとで選択される。NIPT検査は,母体血中の胎児由来DNAを利用した検査であり,国内44の医療施設(2014年12月現在)において臨床研究として検査可能である。対象疾患は染色体数的異常(21トリソミー,18トリソミーおよび13トリソミー)に限定され,対象もハイリスク妊婦(胎児超音波検査や母体血清マーカー検査で染色体数的異常を有する可能性が示唆された妊婦や,染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある妊婦,35歳以上の高年妊娠)に限られる。
陽性的中率は高いが,たとえば35歳で約80%であるように,確定検査ではないため,陽性例の確定診断のためには羊水検査や絨毛検査などの侵襲的検査が必要になる。陰性的中率は対象疾患にかかわらず99.9%ときわめて高く,検査陰性例は侵襲的検査を回避できると考えられるが,必ずしも異常のない妊娠を保証するものではない。
国内では所定の届け出施設において検査が実施されており,1年間に7775件が受検し,陰性7616件(98%),陽性141件(1.8%)であるが,うち羊水検査で12件の偽陽性が判明している。

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