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新しい喘息の指標:FeNOの保険適用

No.4750 (2015年05月09日発行) P.47

粒来崇博 (国立病院機構相模原病院アレルギー科医長)

登録日: 2015-05-09

最終更新日: 2016-10-26

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気管支喘息は有症率が高く,どこでも見かける疾患である。一方で,わかりやすい指標がないため,症状,呼吸機能で重症度を確定し総合的に判断せざるをえないが,気管支喘息の症状や閉塞性呼吸障害は可逆的で早朝・夜間に悪化しやすいため,実際の診療現場では正確な評価が難しかった。
喘息の病態の根幹である好酸球性気道炎症は気道上皮を刺激し,内因性の一酸化窒素(NO)が放出される。その現象を利用し,気道炎症の指標としたのが呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定である。呼気を用いるため侵襲が皆無であり,数値であるために判定しやすく,今まで判定が難しかった気道炎症について簡便にわかることから利便性が高い。全世界で研究が進み,2011年にガイドラインが発表された。
日本では,2013年に測定器のひとつであるNIOX-MINOR(スウェーデンAerocrine社製,チェスト社が代理店)が医療機器として認可され,保険診療での利用が可能となっている。NIOX-MINOでは標準的な据え置き型機械の70%程度の測定値となるため,判定の際は和歌山県立医大が報告した日本人の判定基準を参照する。すなわち,カットオフ値22ppb,正常上限値37ppbとし,高値であれば好酸球性炎症が強いと判定する。なお,重症度の判定はできないため,呼吸機能,症状と合わせて総合的に判定する必要がある。

【参考】

▼ Dweik RA, et al:Am J Respir Crit Care Med. 2011; 184(5):602-15.
▼ 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会, 監:喘息予防・管理ガイドライン2012.協和企画, 2012.
▼ 和歌山県立医科大学内科学第三講座:呼気NO(一酸化窒素)測定ハンドブック─喘息診断の新しいツール. 2011.

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