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男性・女性高齢者の排尿障害

No.4759 (2015年07月11日発行) P.51

長谷川 浩 (杏林大学高齢医学准教授)

登録日: 2015-07-11

最終更新日: 2016-10-26

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前立腺肥大症(BPH)における前立腺体積と男性の下部尿路症状の重症度との関連を検証する様々な研究が行われている。prostate-specific antigen(PSA)は前立腺体積増大の重要な予測因子であるが,将来の下部尿路症状での増悪の予測が可能な因子であることも報告されている。また『前立腺肥大症診療ガイドライン』(文献1)で,専門医による治療アルゴリズムが示された。さらに,本ガイドライン発刊後に,勃起障害治療薬タダラフィル〔phosphodiesterase-type 5(PDE5)阻害薬〕がBPHに対する新たな薬物療法として承認された。
わが国でロボット支援根治的前立腺摘除術が2012年より保険適用され,以来,全国に広がり,一般的な手術として行われはじめている。出血量や輸血率,周術期合併症の発生率は有意に低く,尿禁制率や勃起機能の温存率が高いとされている。
女性の排尿障害では,尿意切迫感,頻尿,尿失禁といった蓄尿症状が主体を占めることが多い。しかし,膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱には,高頻度に排尿症状(排尿障害)を伴うため,注意が必要である。これらの女性下部尿路症状を包括的に診療するために『女性下部尿路症状診療ガイドライン』(文献2)が出された。本ガイドラインは尿失禁以外の女性下部尿路症状を網羅している点において,世界初のものである。「初期診療」と「専門的診療」の2つの診療アルゴリズムを収載し,泌尿器科専門医以外のプライマリケア医,医療従事者にとっても使用しやすいものとなっている。

【文献】


1) 日本泌尿器科学会, 編:前立腺肥大症診療ガイドライン. リッチヒルメディカル, 2011.
2) 日本排尿機能学会女性下部尿路症状診療ガイドライン作成委員会, 編:女性下部尿路症状診療ガイドライン. リッチヒルメディカル, 2013.

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