バイオシミラー(biosimilar products)は,既に承認された生物学的製剤と同様な作用を持つ製薬品であり,薬価が安い。そのため,患者にも優しく国の医療費高騰を制御する薬として期待されている。2014年,インフリキシマブBS(インフリキシマブのバイオシミラー)が8つめの関節リウマチ(RA)に対する生物学的製剤として登場した。ただし,低分子化合物であるジェネリック医薬品の概念とは異なり,生物学的製剤のバイオシミラーは,宿主細胞を含めた製造方法,糖鎖構造,精製方法などがオリジナルと同等ではない。
Yooら(文献1)は,302例のRA患者を対象として,インフリキシマブBSの無作為二重盲検多施設国際共同試験(第3相治験)を実施した(対照は304例のRA患者を対象としたインフリキシマブ投与)。投与量は3mg/kgでメトトレキサートを併用した。その結果,30週でのACR20,ACR50,ACR70,DAS28-CRPの低疾患活動性と寛解率,ACR-EU
LARの寛解率,PK(薬物動態),PD(薬力学),副作用発現率,自己抗体出現率などにおいて,有意な差が認められなかった。
以上のように第3相治験においては,有用性と安全性にインフリキシマブとインフリキシマブBSに有意な相違は認められていない。作用は同等であっても,異なる薬剤であることは明白であるため,今後の市販後調査によるさらなる安全性の検証が待たれる。
1) Yoo DH, et al:Ann Rheum Dis. 2013;72(10):1613-20.