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胃癌術後補助化学療法の今後

No.4766 (2015年08月29日発行) P.49

棚橋利行 (岐阜大学腫瘍外科)

吉田和弘 (岐阜大学腫瘍外科教授)

登録日: 2015-08-29

最終更新日: 2016-10-26

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ACTS-GC試験(文献1)の結果より,『胃癌取扱い規約第13版』による根治A,B手術(D2以上のリンパ節郭清)を受けたpStageⅡ,ⅢA,ⅢB症例に対しては,S-1(TS-1)の補助化学療法が『胃癌治療ガイドライン』にて推奨されている。
Stageが早くなるほうがS-1補助化学療法の有効性が高くなる傾向にあり,StageⅢに対する効果は十分とは言えない。韓国のCLASSIC試験(文献2)においては,カペシタビン(ゼローダ)とオキサリプラチン(エルプラット)併用療法が手術単独群に比べ無病生存期間(DFS)の延長を認め,さらに5年全生存期間(OS)に対するハザード比がStageⅢA症例で0.75,StageⅢB症例で0.67と良好であった。治癒切除不能な進行再発例に対するオキサリプラチンの使用がわが国でも承認されたため,今後,1つのオプションとしての可能性がある。
StageⅢ症例に対しては,JACCRO GC-07(START-2)試験において,S-1単独療法とS-1+ドセタキセル併用療法のランダム化比較第3相試験が開始されている。ACTS-GC試験では,その対象は20~80歳で,80歳以上の高齢者でも手術をする機会が増えてきており,その年代における術後補助化学療法の有効性・安全性のエビデンスはないことから,JCOG胃がんグループにて第3相試験が計画されている。

【文献】


1) Sakuramoto S, et al:N Engl J Med. 2007;357(18):1810-20.
2) Bang YJ, et al:Lancet. 2012;379(9813):315-21.

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