関節超音波検査は滑膜炎を視覚化し,客観的に評価できる検査法である。身体所見で見逃すような滑膜肥厚や滑膜炎の所見を検出でき,骨びらんの検出も単純X線より感度が高い(文献1)。さらに一度に様々な部位をリアルタイムで観察でき,動的観察が可能なこと,関節穿刺のガイドに有用なことなど利便性が高い。また,患者にとって身体的・経済的負担の軽い検査法であり,患者とのコミュ二ケーションの上でも有用な補助ツールである。評価の精度が術者の技術と解釈に依存する点は,むしろ関節診察のほうが高いとされている。
ドプラモードで検出されるパワードプラ(PD)シグナルは,増殖した滑膜組織の新生血管の程度と強く相関しており,Bモードによるグレースケールと併せて評価することで,炎症性の滑膜肥厚か,血流のない線維性瘢痕としての滑膜肥厚かの区別が可能である(文献2)。生物学的製剤による治療後も,PDシグナルが残存している関節では,X線画像上の関節破壊が進行していたとの報告がある。寛解例でも,PD陽性関節を有しない例に比べ高率に再燃することもあり,PD陽性関節が最大のリスク因子との考え方もある。しかし,すべての症例への繰り返し関節超音波検査の施行は現実的ではなく,所見が治療方針に影響を与える可能性の高い症例を効率よく選択する必要がある。
1) 日本リウマチ学会関節リウマチ超音波標準化小委員会, 編:リウマチ診療のための関節エコー評価ガイドライン. 羊土社, 2014.
2) 浜 真麻, 他:INNERVISION. 2011;26(12):76-9.