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クローン病における小腸内視鏡検査の役割 【内視鏡は狭窄性病変検出に不可欠で,拡張術による治療も可能】

No.4789 (2016年02月06日発行) P.54

大塚和朗 (東京医科歯科大学光学医療診療部教授)

登録日: 2016-02-06

最終更新日: 2016-10-26

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クローン病は,若年者を中心に全消化管を侵す慢性炎症性疾患であり,経過とともに腸管狭窄,さらに瘻孔形成をきたして患者のQOLを著しく低下させる。2013年には,わが国の患者数は4万人弱に急増しているが,その8割に小腸病変がある。これまで小腸検査には,内視鏡の困難さから小腸透視が多く行われていた。21世紀に入りカプセル内視鏡やバルーン内視鏡が発表され,ようやく小腸も日常臨床での内視鏡検査の対象となってきた。
カプセル内視鏡は,低侵襲で粘膜病変の検出に優れているが,しばしば狭窄が発生するクローン病では滞留の危険がある。バルーン内視鏡は,詳細な観察に加え,生検や治療も施行可能である。内視鏡とほかの診断法とを比較したところ,欧米での標準的な診断方法であるMR enterographyは内視鏡が通過できない高度狭窄でも59%しか検出できなかった(文献1)。すなわち,狭窄性病変検出に内視鏡は不可欠である。
また,内視鏡では狭窄拡張術が可能である。これまで狭窄に対し小腸部分切除が行われていたが,繰り返されるうちに短腸症候群をきたすこともあった。これに対応して狭窄形成術も施行されるが,内視鏡治療はさらに低侵襲である。長期の手術回避率は今後の検討課題であるが,短期的成功率は高い。病変到達率が100%ではなく,瘻孔形成時には施行できないなど適応に限界もあるが,十分な病変評価と,それに基づく低侵襲治療の可能な内視鏡の意義は大きい。

【文献】


1) Takenaka K, et al:Gastroenterology. 2014;147(2):334-42.e3.

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