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クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)の診療  【カナキヌマブが治療の重要な選択肢】

No.4808 (2016年06月18日発行) P.55

山崎聡士 (広島大学病院リウマチ・ 膠原病科診療講師)

杉山英二 (広島大学病院リウマチ・膠原病科教授)

登録日: 2016-06-18

最終更新日: 2016-10-29

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クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)はNLRP
3遺伝子の異常を原因とする自己炎症性疾患である。重症例は小児期に診断されることが多いが,家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)と呼ばれる軽症CAPSの場合,寒冷刺激により誘導されやすい発熱と,蕁麻疹様皮疹に悩まされながらも,原因不明のまま成人となり,内科で診断されることも稀ではない。関節炎,低身長,髄膜炎,感音性難聴,ぶどう膜炎,アミロイドーシスなども合併しうる。
NLRP3の遺伝子異常は,同遺伝子がコードするクリオピリンと呼ばれる蛋白質の機能異常をもたらし,インフラマゾームと呼ばれる複合体を形成する。これによりインフラマゾーム構成因子であるカスパーゼが活性化し,その基質である炎症性サイトカインIL-1βの過剰成熟へとつながる。このIL-1β過剰産生がCAPS病態の本態である。
抗IL-1β抗体およびIL-1β受容体拮抗薬はCAPSに著効する。欧州のリコメンデーションでは,CAPSと診断した場合,年齢を問わず,できるだけ早く,迷わずIL-1阻害薬を導入すべきとする明快で力強い推奨がなされている(文献1)。わが国でも2011年に抗IL-1β抗体であるカナキヌマブが承認され,15年にはCAPSは難病医療費助成対象となり,難治性疾患政策研究事業の研究班による診療指針確立へ向け,作業が進められている。

【文献】


1) ter Haar NM, et al:Ann Rheum Dis. 2015;74(9):1636-44.

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