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肺高血圧症の治療  【未治療・既治療を問わず,マシテンタンがリスク軽減に有効】

No.4813 (2016年07月23日発行) P.48

巽 浩一郎 (千葉大学呼吸器内科教授)

登録日: 2016-07-23

最終更新日: 2016-10-29

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肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)の存在診断における画像診断の役割は大きい。
この20年足らずの間に肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)に対する治療法は劇的に進歩し,現在では適切な診断と治療を求めることができる。もともとPAHの治療目標は,症状の改善,運動耐用能の改善であった。しかし,多くの有効な治療薬の登場により,現在ではQOLを保った生命予後の改善が治療のゴールになってきている。
SERAPHIN試験は,新規エンドセリン受容体拮抗薬であるマシテンタンの有効性を,死亡と臨床悪化までの期間を一次エンドポイントとして評価した,二重盲検ランダム化プラセボ対照試験である(文献1)。WHO機能分類Ⅱ~Ⅳ度(労作時息切れあり)のPAH患者を,マシテンタン3mg,10mg,プラセボを1:1:1に割り付けて実施された。その結果,一次エンドポイントについて,マシテンタン3mg群で30%,10mg群で45%のリスク軽減が認められている。さらに,登録時,既にエンドセリン受容体拮抗薬以外のPAH治療薬(PDE5阻害薬が61%の症例に使用)を使用していた症例も登録・解析されている点が重要である。その結果,既治療群においてもマシテンタン10mgで38%のリスク低下を認めている。PDE5阻害薬で治療を受けており,WHO機能分類Ⅱ度で安定している患者群でも,マシテンタン10mgの上乗せは,将来の臨床悪化を抑制する可能性がある。

【文献】


1) Pulido T, et al:N Engl J Med. 2013;369(9):809-18.

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