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インスリンポンプの展望 【SAPにより細やかな血糖管理が実現し,完全自動コントロール化を目標にさらなる開発が進行中】

No.4818 (2016年08月27日発行) P.51

西村理明 (東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授/ピッツバーグ大学公衆衛生大学院 adjunct assistant professor)

登録日: 2016-08-27

最終更新日: 2016-11-04

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欧米では,血糖を連続測定できる持続血糖モニター(CGM)機器の中でも,直近の測定値が表示されるリアルタイムCGM機器が主流になっている。このリアルタイムCGMの情報を効率よく臨床にフィードバックする方法のひとつとして,リアルタイムCGM機能を装備したインスリンポンプ(SAP)が開発された。

2015年に入り,わが国でもメドトロニック社製のSAPの販売が開始され,既に数千台が使用されている。本機器の大きな特徴は,インスリンポンプの画面に現在の血糖値,上昇しているか下降しているかのトレンド,血糖値の推移が常に表示されることである。さらに,高血糖や低血糖を知らせるアラームも設定できる。これらの情報を用いて,血糖値の補正アクション(追加インスリンの注射など)を患者サイドで行えるため,血糖コントロールが劇的に改善する症例は少なくない。

1型糖尿病を対象にSAPもしくはインスリン頻回注射法(MDI)に無作為に割り付けた試験では,SAP群において1年後のHbA1cが有意に低下した1)

今後,CGMの値を利用し,低血糖になるとインスリン注入が自動で停止するSAP機器が登場してくる予定である。また,血糖値を完全に自動コントロールするSAP機器の治験が海外で進行している。これらの機器を必要としている患者は少なくない。早期に実用化されることを強く望む。

【文献】

1) Bergenstal RM, et al:N Engl J Med. 2010;363(4):311-20.西村理明 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授/ピッツバーグ大学公衆衛生大学院 adjunct assistant professor

【解説】

西村理明 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授/ピッツバーグ大学公衆衛生大学院 adjunct assistant professor

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