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薬剤による除細動に抗凝固薬は 必要か? 【除細動後のスタニングの可能性】

No.4840 (2017年01月28日発行) P.61

鈴木信也 (心臓血管研究所付属病院循環器内科医長)

登録日: 2017-01-24

最終更新日: 2017-01-24

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  • 抗凝固薬の投与は,薬剤による除細動時も必要でしょうか。例えば特発性で短時間(2~3時間)の発作ではあるが高頻度なため,抗不整脈薬で除細動しようとするときも,抗凝固薬の前投薬は必要でしょうか。

    (質問者:高知県 F)


    【回答】

    心房細動に対して除細動を行ったあと血栓ができるのは,「スタニング」と呼ばれる左心房収縮不全状態によると考えられています。私たちの持ちやすいイメージは,「これは電気ショックを与えたことによる心筋の麻痺状態だ」というものです。そのため,「電気的除細動と薬理学的除細動は異なる」という理解になりやすいのだと思います。

    しかし,数々の臨床研究の結果,スタニングは電気的除細動でも薬理学的除細動でも,あるいは自然停止した場合でも生じることが明らかとなっています1)。スタニングが生じる理由は,心房細動中に起こる心筋自体の変化にあると考えられています。たとえば,動物実験ではペーシングにより心房細動を誘発し9~23週間持続させたところ,心筋のサイズは2倍になりました。このような心筋では筋原線維の減少とグリコーゲンの蓄積が生じているとされます2)。そのために,心筋の「冬眠状態」が生じてしまうのです。

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