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産科危機的出血への対応 【止血処置と輸血を含めた全身管理を同時に行い,出血量と全身状態の正確な把握を行う】

No.4845 (2017年03月04日発行) P.65

青木宏明 (東京慈恵会医科大学産婦人科)

牧野真太郎 (順天堂大学医学部附属順天堂医院産科・婦人科准教授)

登録日: 2017-03-02

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  • 産科危機的出血への対応について,最新の知見をご教示下さい。順天堂大学医学部附属順天堂医院・牧野真太郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    青木宏明 東京慈恵会医科大学産婦人科


    【回答】

    産科危機的出血への対応には,「止血処置」と「輸血を含めた全身管理」があり,それらを同時に行うことが求められます。

    Japan Maternal Emergency Life-Saving(J-MELS)のアドバンスコースでは,産後にショック指数(shock index:SI)が高値を示す患者への対応を,救急科医師と協力して行うシナリオが開始されています。産科医は「止血処置」を,救急医は「輸血を含めた全身管理」を担当しますが,このときに重要なのは,リーダーを中心として産科医と救急医の双方がコミュニケーションを取りながら治療戦略を練り実行することです。

    (1)産科危機的出血における初期処置の重要性
    産科危機的出血では初期処置が非常に重要であり,近日中に発刊予定の「産科危機的出血への対応ガイドライン2017」には,子宮腔内へのバルーンタンポナーデテストやトラネキサム酸の投与などの,一次施設で可能な初期処置が追加されました。「危機的出血の宣言」の参考値としては「血中フィブリノゲン値150mg/dL以下」を追記したことも大きなポイントです。上述のように,産科危機的出血への対応に関しては多くの協力のもと,ようやく標準化が整えられてきていますが,突発的に発症し,わずかな時間で重症化する病態は,相変わらず初期処置を困難にしています。

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