薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会(五十君靜信部会長、写真左)は16日、ノロウイルスの食中毒対策として厚生労働省が提示した「大量調理施設衛生管理マニュアル」改正案について大筋で了承した。
主な改正点は、①検便検査、②職員の健康-の取り扱いについて。①に関しては、現行では責任者は調理従事者等に「必要に応じ10月から3月の間はノロウイルス検査を含めることが望ましい」となっているが、「月1回以上」「受けさせるよう努める」との表記に変更し、努力義務とした。調理従事者に対しても「月1回以上」「努めること」とした。
②については、施設汚染を防止するため、責任者に対し調理従事者の健康状態を現行の「把握」から「確認」するよう求める。この変更は昨年12月から今年1月にかけて実施した厚労省の「調理従事者および施設の衛生状況に関する調査」における、食中毒発生施設は「健康状態の確認記録がない」ケースが多いという結果を踏まえたもの。また衛生責任者には、毎日作業開始前に調理従事者等の健康状態を確認、その結果を記録するよう明示した。
部会では厚労省が、大阪府の業者が加工した「キザミのり」に関連し、1月から2月にかけて和歌山県や東京都などで発生した食中毒事例について報告。事業所への調査から昨年12月に従事者が嘔吐等の体調不良を訴えたにもかかわらず、板状の海苔を素手で機械に投入したことが判明している。
改正案は大筋で了承されたものの、複数委員から高コストな検便検査など対策の実効性を疑問視する声が上がった。また今村知明委員(奈良県立医大)は「もはやノロウイルスは食中毒対策では限界がある」と強調し、感染症として取り扱うことを厚労省に求めた。
改正管理マニュアルは、パブリックコメントなどを経て、今年年央をめどに公表される予定。