スタチン服用例へのPCSK9抗体追加により、血管系疾患既往例の心血管系イベントリスクが相対的に15%有意に低下することが、米国ワシントンDCで17~19日に開催された米国心臓病学会(ACC)において明らかになった。ランダム化試験 "FOURIER"の結果として、米国ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のマーク・サバチーニ氏が報告した。
FOURIER試験の対象は、心筋梗塞、脳卒中、症候性末梢動脈疾患の既往があり、スタチン服用にもかかわらずLDL-Cが70mg/dL以上、あるいは非HDL-Cが100mg/dL以上だった2万7564例。スタチン服用継続のまま、PCSK9抗体エボロクマブ群とプラセボ群にランダム化され、二重盲検下で26カ月(中央値。4分位範囲:22-30)追跡された。その結果、1次評価項目である「心血管系死亡、冠動脈イベント、脳卒中」は、プラセボ群の14.6%に比べ、PCSK9抗体群では12.6%と有意に低値となっていた(ハザード比 〔HR〕:0.85、95%信頼区間 〔CI〕:0.79-0.92)。ただし、心血管系死亡のみならば、HRは1.05である(95%CI:0.88-1.25)。
LDL-C値は、PCSK9抗体群が約30mg/dL、プラセボ(スタチン)群でおよそ90mg/dLで推移した。スタチン群のLDL-C値は、心血管系2次予防における強化スタチン療法の有用性を証明したPROVE-IT試験やIDEAL試験に比べ、高値である。
有害事象は、懸念されていた神経認知機能障害や白内障、糖尿病発症を含め、この追跡期間中には有意差を認めなかった。
本試験は、Amgen社の資金提供を受けて行われた。