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(2)いびつな人口ピラミッド[特集:医療統計 早わかり]

No.4736 (2015年01月31日発行) P.22

登録日: 2016-09-01

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  • 医師数と就業状況の推移

    医師の数と就業状況は2年ごとに実施される「医師歯科医師薬剤師調査」(以下,調査)で詳細に把握されている。直近は2012年末現在のもので,医師数は30万3268人と初めて30万人の大台に乗った。人口10万人当たり237.8人である。調査は1982年までは毎年行われてきたが,それ以降は隔年となったので,1966年以降の隔年ごとの医師数と人口10万人当たり数の推移を図1に示す。
    人口10万人当たり医師数は1970年までは横ばいであったが,1970年代に入って急増し1990年代に入るとやや鈍化している。

    医師数増減の背景

    医師数の増加は戦後日本の特異な歴史を反映している。意外に思われるであろうが,終戦後の日本は医師過剰であった。理由は2つあり,1つは戦争末期に医学専門学校を新設したため,1945年の入学定員が医学部2308人に対して医学専門学校8225人と1万人以上に膨れ上がったこと,もう1つは戦前の植民地にいた日本人医師が敗戦で引き上げてきたためである。その結果,戦後日本は医師過剰状態となり,長く医学部新設は行われなかった。しかし,1961年に国民皆保険制度が達成されると医療需要が急増し,今度は医師不足となった。そのため,1970年からの10年間で医学部が新設され,定員は倍増。逆に医師過剰が懸念されるようになり,1980年代に入って入学定員抑制が行われた。…… そして現在,再び医師不足が深刻になり医学部新設が再開されようとしている。
    人口ピラミッドには年輪のように,一国の歴史が刻まれている。医師の人口ピラミッドは図2の通り。65歳以上が急に少なくなっているのは引退や届出漏れのためと考えられ,留意が必要である。男性は現在,50歳代が団塊の世代を形成している。年齢が若くなるにつれて女性の割合が増加し,50歳未満の男女の医師数は平行四辺形になっている。総数はそれほど減少していないが,男性医師が急減したことが昨今の医師不足の重要な一因であることが想像される(46歳の切れ込みは1966年の丙午の影響)。

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