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外来での心房細動患者のレートコントロール目標【心不全の有無にかかわらず,安静時心拍数を <110回/分で管理】

No.4852 (2017年04月22日発行) P.56

阿古潤哉 (北里大学医学部循環器内科学教授)

山下武志 (心臓血管研究所所長)

登録日: 2017-04-19

最終更新日: 2017-04-17

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  • 外来での心房細動患者のレートコントロールはどの程度を目標とするのがよいのでしょうか。心不全を合併している場合に,目標値に違いがあるのでしょうか。心臓血管研究所・山下武志先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    阿古潤哉 北里大学医学部循環器内科学教授


    【回答】

    「心房細動の心拍数は,洞調律と同じレベルになるように管理すること」と考えられてきた歴史があります。2004年の米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)/欧州心臓病学会(ESC)による心房細動ガイドラインには,“The rate is generally considered controlled when the ventricular response is between 60 and 80 bpm at rest and between 90 to 115 bpm during moderate exercise”と書かれています。

    しかし,その設定根拠は明確ではなく,洞調律例における莫大な疫学データを同じように当てはめたというのが実際だと思われます。一般人口を対象にした観察研究では,心拍数60回/分前後の場合,将来の様々な疾患発生率が有意に低くなることが報告されているからです。

    この目標心拍数を対象にした最初の臨床研究が2010年のRACE Ⅱ研究です。この研究によって,従来の目標心拍数である60~80回/分は根拠がないばかりか,心拍数110回/分以下というゆるめのコントロールでも十分であることが初めて実証されました。

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