(高知県 F)
HPTとPIVKAおよびビタミンK依存性凝固因子のⅡ因子,Ⅶ因子,Ⅹ因子との関連についてお答えします。HPTはノルウェーのOwrenら1)が1969年に開発した検査法です。欧州ではノルモテスト(Normotest®:NT)と呼びます。
HPTの理解には,HPTが開発されるまでの経緯が参考になります。Owren2)は,HPTの開発以前,1959年にビタミンK拮抗薬による血栓塞栓症の治療の止血モニターとしてプロトロンビン時間(PT)を改変したトロンボテスト(TT)を考案しました。PTは被検血漿中のⅤ因子およびフィブリノゲンが影響することから,TTではⅤ因子およびフィブリノゲンが一定量含まれるウシ血漿をバリウム吸着することでⅡ因子,Ⅶ因子,Ⅸ因子,Ⅹ因子のみ欠乏した血漿を検査試薬として用います。この検査試薬250μLに対し,被検血漿50μLを加え,組織トロンボプラスチンを添加し,凝固までの時間を測定します。TTもPTと同様に血液凝固までの時間が短いため,Ⅸ因子の影響は反映されないことから,TTは主にⅡ因子,Ⅶ因子,Ⅹ因子の複合凝固活性を表します。
Owrenらはその際用いる組織トロンボプラスチンとして,ヒト由来でなく入手の容易なウシ由来の組織トロンボプラスチンを用いました。さらに凍結乾燥した試験薬として開発されたことから,TTはビタミンK拮抗薬の止血モニター法として北欧を中心に広がり,今日のわが国でも用いられています。その後,OwrenらはTT開発後もその特性を研究する中で,TTはビタミンK拮抗薬を服用した血漿と正常血漿との間に,稀釈ごとで凝固時間に解離が生じることを見出しました。
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