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排尿後尿滴下【頻度は決して少なくなく,生活の質を低下させている】

No.4856 (2017年05月20日発行) P.54

小林 皇 (札幌医科大学泌尿器科)

舛森直哉 (札幌医科大学泌尿器科教授)

登録日: 2017-05-17

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排尿困難,残尿感,昼間・夜間頻尿などの下部尿路症状は,多くの高齢男性が有しており,加齢に伴い増加することが知られている。男性の下部尿路症状は多彩であるが,その症状のひとつに排尿後尿滴下(post-micturition dribble:PMD)という症状がある。これは,排尿直後(通常男性では,便器から離れた後)に不随意的に尿が出てくるという愁訴である。このPMDに関しては,前立腺肥大症に伴う下部尿路症状を評価するために広く臨床的に使用されている質問票である,国際前立腺症状スコア(International Prostate Symptom Score:IPSS)に含まれておらず,その病態や頻度とその困窮度に関して十分に解明されていなかった。

札幌医科大学泌尿器科では,前立腺肥大症に伴う下部尿路症状の有病率を調査する目的で北海道島牧郡島牧村の40~79歳の全男性住民を対象に横断研究を実施してきた。その中で,PMDを有する頻度は40歳代13.6%,50歳代39.0%,60歳代44.2%,70歳代41.2%であり,加齢に伴い増加傾向にあることが示された1)。また,排尿困難や昼間・夜間頻尿などの,ほかの下部尿路症状と比較しても決して頻度は低くないことも示された。さらに,PMDの頻度とそれによる困窮度には相関関係が認められ,PMDが生活の質の低下につながることも示唆されている1)

今後,PMDに関する研究が発展し,病態の理解がさらに進むことが期待される。

【文献】

1) 小林 皇, 他:日排尿機能会誌. 2014;24(2):366-9.

【解説】

小林 皇*1,舛森直哉*2 *1札幌医科大学泌尿器科 *2同教授

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