結核を疑って検査する際は,抗酸菌塗抹検査と培養検査をセットで3回オーダーする
結核菌の核酸増幅法検査を積極的に利用する
感染管理を徹底しつつ,質の高い(膿性度の高い)喀痰を採取する
精度保証された薬剤感受性試験を利用する
耐性結核が疑われる例には,遺伝子検査を積極的に適用する
結核菌の細菌学的検査は,結核患者の管理に重要な情報を提供することを目的として実施される。誤った検査情報は診療の方向性を誤らせる可能性があり,すべてのステップで精度の確保に努める必要がある。また,これを利用する臨床医や検査技師は,検査情報の信頼性と限界を理解しておかなければならない。本稿では耐性結核の診療を前提とした検査のポイントについて概説する。
検査に用いる検体は,良質のものでなければ正しい結果は期待できない。ここでいう良質の検体とは,喀痰であれば下気道由来の膿性部分が多く,夾雑物の少ない検体である。また,通常無菌状態(胸腔や髄腔)から得られる検体であれば,無菌的に採取された検体を指す。
特に喀痰は努力によって質が変化するものであるため,患者によく説明し,必要に応じて喀痰誘発(3%食塩水の吸入や排痰促進デバイスの使用)を行う。結核診断時の喀痰の抗酸菌検査では1日1回,連続して3日間検査することが推奨されている1)。
抗酸菌検査は通常,塗抹検査と培養検査の2項目を同時に検査依頼する(一方が忘れられる場合が多い)。特に結核の疑いが濃厚な場合は直接塗抹による迅速検査(40分~1時間以内)が可能であるから,検査室にその旨を連絡する。また,一般にこれらの2項目に加えて「結核菌核酸増幅法検査」(遺伝子検査)も依頼する。検査材料を提出する時点では同定検査や薬剤感受性試験は依頼しないが,抗酸菌培養陽性となった場合には必ず同定検査を実施する。結核菌であれば薬剤感受性試験の実施も必須である。
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