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胃内視鏡検査でインジゴカルミンを使用するとかえって不明瞭になるのでは?【色素コントラスト法の原理を理解し,病変に合わせ使いこなす】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.60

八木一芳 (新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院消化器内科特任教授)

登録日: 2017-08-08

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  • linked color imaging(LCI),blue laser imaging(BLI),BLI-brightの経鼻胃内視鏡を使用中です。大抵の胃内視鏡の本には,インジゴカルミン(indigo carmine:IC)を使用しないと早期胃癌を見落とすと書いてあります。白色光,LCI,BLIで胃癌を疑っている部位では,ICを使用することがありますが,実際,ほとんど使用せずに生検だけで終わっています。
    (1)検査で正常と判断しているときに,ICを胃全体に撒布して,初めて胃癌が発見されることがあるのでしょうか。
    (2)ICを撒布したことで,隆起がない発赤性あるいは褪色状の早期胃癌(bタイプ)が不明瞭にならないでしょうか。
    (3)ICを撒布しない胃内視鏡検査では,胃癌を見落とす確率が上がるのでしょうか。胃全体に適当にICを撒くのに時間を要し,胃全体が不明瞭になりはしませんか。

    (大阪府 H)


    【回答】

    ICによる色素コントラスト法は,粘膜模様に存在する溝などに色素が溜まり,その模様を強調するというのが特徴です。よって病変全体がわずかに陥凹しており,周囲の背景粘膜と段差をつくっている場合,病変部は視認されやすくなります。たとえば図1の病変です。図1aの通常内視鏡では,わずかな発赤を認めますが,がんを指摘することはできません。しかし,図1bのIC撒布後では,陥凹病変の辺縁に色素が溜まり,病変部を容易に視認できるようになります。一方,病変部が背景胃粘膜に類似した模様を有する場合,むしろわかりにくくなります。図2の病変では,図2aの通常内視鏡では,褪色からがん病変を指摘できますが,図2bのIC撒布後では,病変部は背景と同様の模様となり,むしろ病変の指摘は困難になります。以上のIC法の原理をふまえてお答えします。

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