医師、助産師などで構成する日本産婦人科協会が8日に会見を開き、無痛分娩の安全管理対策を提言した。局所麻酔薬の少量分割投与や副作用リスクの少ない薬剤選択を推奨している。
無痛分娩を巡っては今年4月以降、事故報道が相次ぎ、厚生労働省も安全管理体制を検討する研究班を今月設置することを明らかにしている。
こうした状況を踏まえ協会は声明を発表。「メディアスクラムの中では1人医師産婦人科診療所の人員体制に焦点が当たり、麻酔科医の派遣や産婦人科医の複数配置、セミオープンシステムによる分娩施設集約化といった現実的ではない改善策ばかりが有力視されている」と懸念を表明し、分娩施設の減少が止まらない現状で非現実的な対策が採用されると産科医療体制の崩壊が決定的になると警鐘を鳴らした。
その上で、より効果的な医療安全管理対策として、日本麻酔科学会が6月に公表した「局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド」に基づいた対策を提示。3〜5mlを分割して投与し、投与ごとにしばらく時間を置いて観察することや、一般的に使用されているブピバカインよりも中毒症状が出にくいとされているロピバカインの使用を提案した。
1975年頃から無痛分娩を行っている堀口貞夫副会長(主婦会館クリニック)は会見で、「出生数の約35%がハイリスク。無痛分娩を中核病院で行うことにしたら、病院が妊産婦であふれてしまう」と述べ、無痛分娩の集約化は現実的ではないことを指摘した。