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人間らしい「良いお産」とは何か? 【周囲の支援で強い痛みを克服した母親の達成感や自己肯定感は良好な親子関係を生む】

No.4871 (2017年09月02日発行) P.57

高橋雄一郎 (国立病院機構長良医療センター産科医長)

北島博之 (大阪急性期・総合医療センター小児科顧問)

登録日: 2017-08-30

最終更新日: 2017-08-29

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  • 人間らしい「良いお産」とはどういうものでしょうか。大阪急性期・総合医療センター・北島博之先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    高橋雄一郎 国立病院機構長良医療センター産科医長


    【回答】

    YouTubeでチンパンジーやサルのお産を,児を受ける側から見ていますと,母親はいきまずに,ポロンと児が出て,皆泣かないですぐ呼吸が始まっています。15年前の大阪の助産所でのこと,夫に後ろから抱かれた坐産で,ゆっくり児頭が出てきて最後のいきみで自然にスルッと出て母親に抱かれ,すぐ呼吸が始まりまったく泣きません。これが自然なお産なのだとびっくりすると同時に,母子双方にとって「良い」と考えられる静かな流れに納得しました。

    人間らしいお産とはどういうことかを考えます。チンパンジーやサルのお産では,母親がひとりでお産を行い傍らには誰もいません(実際は野生で誰も見ていないので真実か不明です)。ヒトは,ギリシャ時代の古くから,ドゥーラという母親を支援する女性が傍らにいて心の継続的な支援を行うことで,お産が軽く楽になり,分娩後に痛みが去ると母親は気持ちよくなることが知られています。わが国のかつての自宅出産では,産婆がこの役割(助産)を果たしていました。これは陣痛によりアドレナリンだけでなく内因性オキシトシンやエンドルフィンの血中レベルが高くなることで証明されました。

    残り655文字あります

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