株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

声門上器具(SGA)の進歩と普及【種類が増えて使いわけが可能となったSGAは,用途が広がり普及した】

No.4871 (2017年09月02日発行) P.53

原 芳樹 (帝京大学麻酔科准教授)

登録日: 2017-08-31

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SGA(supraglottic airway)devicesの原型は1989年発売のlaryngeal mask airway(LMA®)である。LMA®は先端を食道入口部に挿入し,喉頭を包み込むカフを膨らませると,気密性が高まり換気が可能になる。

LMA®の開発目的は,気管挿管手技や非生理的な気管チューブで起こる様々な合併症を減らすことであったが,その後挿管困難時の対処器具として優れていることが認められ,93年には米国麻酔科学会の気道確保困難時のアルゴリズムにLMA®が代替気道確保器具として採用された。以後LMA®から改良された種々のSGAが発表されたが,2013年度の改訂で「麻酔導入後のマスク換気が困難な場合SGAの使用を考慮する」と表記され1),SGAが広く認知された。

LMA®の特徴は,喉頭周囲の気密性を得るシリコンカフの精緻さにあり,オリジナルのカフ構造を保った製品はLMA® Classic™として頻用されている。後発のSGAでは,胃管挿入路を備えたLMA® ProSeal™やLMA® Supreme™,カフを膨らますことなく喉頭周囲に高いシール圧を確保できるi-gel®が代表的である。LMA®は当初,陽圧換気に不向き,誤嚥のリスク,仰臥位以外の手術に不向き,などの欠点も指摘されていたが,後続のSGAはLMA®の欠点を補うべく進歩したため,その用途は拡大し,手術麻酔のみならず,心肺蘇生でも重要な役割を担うに至った。

【文献】

1) Apfelbaum JL, et al:Anesthesiology. 2013;118 (2):251-70.

【解説】

原 芳樹 帝京大学麻酔科准教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top