SGA(supraglottic airway)devicesの原型は1989年発売のlaryngeal mask airway(LMA®)である。LMA®は先端を食道入口部に挿入し,喉頭を包み込むカフを膨らませると,気密性が高まり換気が可能になる。
LMA®の開発目的は,気管挿管手技や非生理的な気管チューブで起こる様々な合併症を減らすことであったが,その後挿管困難時の対処器具として優れていることが認められ,93年には米国麻酔科学会の気道確保困難時のアルゴリズムにLMA®が代替気道確保器具として採用された。以後LMA®から改良された種々のSGAが発表されたが,2013年度の改訂で「麻酔導入後のマスク換気が困難な場合SGAの使用を考慮する」と表記され1),SGAが広く認知された。
LMA®の特徴は,喉頭周囲の気密性を得るシリコンカフの精緻さにあり,オリジナルのカフ構造を保った製品はLMA® Classic™として頻用されている。後発のSGAでは,胃管挿入路を備えたLMA® ProSeal™やLMA® Supreme™,カフを膨らますことなく喉頭周囲に高いシール圧を確保できるi-gel®が代表的である。LMA®は当初,陽圧換気に不向き,誤嚥のリスク,仰臥位以外の手術に不向き,などの欠点も指摘されていたが,後続のSGAはLMA®の欠点を補うべく進歩したため,その用途は拡大し,手術麻酔のみならず,心肺蘇生でも重要な役割を担うに至った。
【文献】
1) Apfelbaum JL, et al:Anesthesiology. 2013;118 (2):251-70.
【解説】
原 芳樹 帝京大学麻酔科准教授