【質問者】
放生雅章 NTT東日本関東病院呼吸器センター センター長
強制オシレーション法(forced oscillation technique:FOT)は,安静換気時に空気の圧力振動(オシレーション)を口元から加え,肺の末梢から戻ってくる気流と圧から「呼吸インピーダンス(respiratory system impedance:Zrs)(一種の抵抗)」を測定する呼吸機能検査です。スパイロメトリーが安静換気に引き続いて測定される肺活量や一秒量を評価するのに対して,FOTは安静換気そのものを評価する点が異なります。
歴史は古く1950年代から研究されており,古典的には単周波数のオシレーションが用いられてきましたが,現在の市販機器〔モストグラフとインパルス・オシロメトリー(impulse oscillometry:IOS)〕は広域周波を用いています。Zrsは,粘性抵抗に相当する呼吸抵抗(respiratory system resistance:Rrs)と弾性または慣性に相当する呼吸リアクタンス(respiratory system reactance:Xrs)に分けられ,(Zrs)2=(Rrs)2+(Xrs)2の関係にあります。Rrsは気道抵抗や肺組織抵抗,胸郭抵抗も含んでいますが,実用的には「気道径」を反映すると理解されます。Xrsは「肺の硬さ」を反映すると言われますが,「空気の入りにくさ」(肺実質または気道に異常がある)と理解するのがよさそうです。
残り738文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する