(大阪府 Y)
「当院では,診療から5年以上経過した診療録は破棄することにしており,初診が1989年1月で現在継続診療中の患者の場合も1989~2012年の5年以上経過した診療録は,順次破棄することになるが,法律上問題はないか」とのご質問です。
医師法第24条第2項は診療録の保存期間を5年間と定めていますが,この5年間の起算点(始期)については医師法に明確な規定がありません。したがって,質問者の病院でやっておられるように,診療時から5年以上経過した診療録を順次破棄しても医師法違反で刑罰を受けることはありません。しかし,刑罰を受けないからまったく問題がないわけではなく,次のような問題があります。
規則第9条は,次のように規定しています。
「保険医療機関は,療養給付の担当に関する帳簿……その他の記録をその完結の日から3年間保存しなければならない。ただし,患者の診療録にあつては,その完結の日から5年間とする」
ご質問の症例は,まだ診療は継続しており,診療完結に該当せず,診療録を順次廃棄すると,規則第9条違反となります。ただし,この規則は法律ではなく,厚生労働省の省令にすぎませんし,医師法違反のような罰則もありませんが,保険医療機関であれば,これを守る義務があります。
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