【質問者】
青島正大 医療法人鉄蕉会亀田総合病院呼吸器内科 主任部長
肺炎は,2011年における日本人の死因で第3位の位置を占めました。この要因として,人口の高齢化が最も大きな要因であることは言うまでもありません。2017年に公表された「成人肺炎診療ガイドライン 2017」では,肺炎を大きく2つに分類しています。「CAP」と「HAP+NHC AP」です。ご質問にある通り,このガイドラインでは,NHCAPはHAPと同列に扱われています。
わが国の肺炎診療は,医療アクセスおよび医療資源の点からもきわめて恵まれた状況にあります。欧米各国およびわが国から報告される医療ケア関連肺炎(healthcare-associated pneumonia:HCAP,わが国のNHCAPと若干定義が異なることに留意)の論文において起炎菌の頻度を見ると,興味深いことに気づきます。たとえば,米国の施設においては,HCAPの起炎菌の約半数が黄色ブドウ球菌であり,しかもその半分以上がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)だと報告されています1)。この数字はわが国では異常であり,医療訴訟にならないか心配になるほどです。
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