高齢期のフレイルとメタボリックシンドローム(メタボ)では、どちらが健康余命への影響が大きいのか。高齢者約1500人を平均7年間追跡調査した注目すべき結果が10月に公表された。
研究をまとめた北村明彦氏に、その結果と健康余命を延ばすための対策を聞いた。
健康余命の延伸は、健康日本21(第2次)の目標の一つです。その影響因子を解明するために、群馬県草津町で2002~11年に高齢者健診を受診した65歳以上の男女計1453人(男性623人、女性830人)を平均7年、最大12.4年追跡し、フレイルとメタボの影響を解析しました。健診を1回以上受けたのは1524人でしたが、その時点で要介護認定を受けていた71人は除外しました。
追跡調査の結果分かったのは、フレイルが健康余命に大きく関わっていることです。年齢調整した自立喪失(要支援・要介護状態か死亡)の発生リスクは、プレフレイル群がフレイルなし群の1.5倍、フレイル群は2.4倍と有意に高い結果でした。
一方、メタボ予備群およびメタボ群の自立喪失発生リスクは、それぞれ0.8倍、1.0倍で、関連性は認められませんでした。むしろ男性はメタボなし群のほうが、メタボ予備群やメタボ群よりも3年間および7年間、自立喪失、要介護、全死亡の発生率が高まる傾向がみられました。
また、メタボだとフレイルのリスクが高まるといった相互関係もありませんでした。健康余命を延ばすためには、高齢者の場合、メタボ対策よりもフレイルの予防がより重要ということです。