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COPD治療の高い有用性【症状軽減に加え将来リスクも減らす】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.50

一ノ瀬正和 (東北大学呼吸器内科教授)

登録日: 2018-02-07

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周知のように,慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙を主因とし,咳,痰,労作時息切れといった症状が緩徐に進行する疾患である。治療は,たばこ煙の回避,すなわち禁煙が最も重要であるが,薬物療法も重要である。従前使用されていた短時間作用性気管支拡張薬の効果はきわめて限定的であったが,1日1~2回の使用で十分な効果を発揮する長時間作用性気管支拡張薬の登場で,COPD患者の労作時息切れや,痰などの症状の大きな改善を見るに至った。

こういったCOPD患者に対する現在の症状の軽減に加え,COPD治療において目標とされる項目が,COPD増悪の予防である。COPD増悪とは,「息切れの増加,咳や喀痰の増加,胸部不快感・違和感の出現あるいは増強などを認め,安定期の治療の変更あるいは追加が必要となる状態」を指し,通常,ウイルスや細菌感染を引き金として起こる1)。増悪自体が重症の場合,死亡の原因となり危険であるが,それ以外でも増悪を起こすことでCOPDの疾患進行(閉塞性障害の進行)が加速し,患者QOLの低下が著しいことが最近明らかになってきた。

長時間作用性気管支拡張薬がCOPD増悪の予防効果も大きいことは,最近のいくつかの大規模薬剤介入試験が示している。つまり,COPD治療は単なる対症療法ではなく,COPDの自然歴も変える,ということである。

【文献】

1) 日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会, 編:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン. 第4版.メディカルレビュー社, 2013.

【解説】

一ノ瀬正和 東北大学呼吸器内科教授

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