消化管の解剖学的特徴を理解し,系統的走査を行うことにより,消化管超音波検査を効率的に行うことができ,かつ病変の見落としを最小限にすることができる
近年,体外式超音波診断の対象臓器として消化管に対する関心が高まっている。その理由として,粘膜面における微小病変を描出することは困難であるが,多くの進行癌,炎症性疾患,急性腹症に対して非侵襲的ながらもその診断能が優れていることが挙げられる。消化管は腹部超音波検査において避けて通れない必須の領域となりつつある。そこで,本稿特集①では消化管超音波診断におけるアプローチとして,基本となる系統的走査法について解説し,特集②では読影ポイント(診断能向上につながる10のポイント)について解説する。
消化管の走査については,解剖学的な特徴を理解し,部位の同定を行いながら消化管ガス像を追跡する系統的走査法が基本となる。つまり,消化管はその走行に豊富なバリエーションを持つ臓器であるが,通常,食道・胃接合部,十二指腸下行部,上行結腸,下行結腸,直腸と多くの固定点がある(表1)。その固定点を意識し,できるだけ系統的に走査することが,見落としを防ぐ上でも重要であり,最大のコツである。系統的走査法における①~⑯の描出ポイントを列挙し,走査する上での解剖のポイントを述べる。
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