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(3)急性腹症における消化管エコーの有用性 [特集:消化管疾患はエコーで診断する]

No.4806 (2016年06月04日発行) P.43

眞部紀明 (川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)准教授)

畠 二郎 (川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 消化管疾患に由来する急性腹症の頻度は高い

    超音波は,組織構築を高分解能にかつリアルタイムに評価できる利点を持ち,消化管疾患に由来する急性腹症に対するfirst lineの検査法に位置づけられる

    急性腹症の消化管疾患の超音波診断では,急性炎症,通過障害,腸管虚血,腸管穿孔をきたす疾患の特徴的超音波画像を把握し,病変の部位や分布,層構造,蠕動,内腔の拡張などのポイントを押さえた画像描出と解析を行うことが重要である

    1. 消化管疾患に起因する腹痛症例の臨床的特徴

    消化器専門医のみならず多くの医師が,これまでに腹痛患者の診療を経験していることと思われる。特に夜間の救急外来を受診する腹痛患者は,迅速な診断と的確な対応を要することが多く,注意が必要である。
    急性腹症の原因疾患は多岐に及ぶため,診断効率を考慮すると,緊急処置を要する疾患から除外していくことが望ましい。表1 1)に緊急処置を要する疾患の一覧を示す。消化性潰瘍や腸閉塞など日頃よく遭遇する消化管疾患が混在していることがわかる。また図1に示す通り,当院の救急外来を受診した患者のうち,男性の貧血などの消化管疾患を疑うべき症例を除外し,誤診あるいは診断遅延の可能性が高かった95症例の罹患臓器の領域別分布をみると,消化管疾患が約40%を占めている。現在,消化管疾患の診断は内視鏡診断が主役であるが,急性腹症の原因となる消化管疾患の内訳を見ると,急性炎症,通過傷害,腸管虚血,腸管穿孔をきたす疾患など,むしろ内視鏡検査が適応とならない疾患のほうが多い。

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