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(4) 食道胃接合部癌へのリンパ節郭清[特集:ガイドラインに基づく胃癌の外科治療update]

No.4897 (2018年03月03日発行) P.39

山下裕玄 (東京大学大学院医学系研究科消化管外科学講師)

瀬戸泰之 (東京大学大学院医学系研究科消化管外科学教授)

登録日: 2018-03-02

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食道胃接合部癌とは,食道と胃の筋層の境界(=食道胃接合部)の上下2cm以内に腫瘍の中心を持つがんである

腫瘍長径が4cm以下の場合,No.4,5,6といった幽門側胃の壁在リンパ節への転移はきわめて稀で,腫瘍学的には郭清の意義は少なく胃全摘は必ずしも必要ではない

縦隔リンパ節の至適郭清範囲については現時点では明確な推奨基準はない

1. 食道胃接合部癌とは

食道胃接合部腺癌は,その名前の通り,食道と胃の境界線に位置する腺癌を指す。近年食道胃接合部癌の患者が増えているとされ,関心あるトピックとして学会で取り上げられる機会も増えてきた。しかし,国内のがん統計では“食道癌”や“胃癌”はあっても,食道胃接合部癌という独自の項目はないため,増加傾向に関する実際の疫学統計データはない。

まず“食道胃接合部癌”の分類・定義の確認から始めたい。わが国と欧米とで用いられている分類・定義が異なっており,この違いの確認なしではいささか混乱を生じる懸念があるからである。わが国において用いられているのは西分類(図1)で,食道胃接合部の上下2cm以内に癌腫の中心があるものを組織型にかかわらず食道胃接合部癌と呼ぶ。つまり,食道胃接合部腺癌もあれば食道胃接合部扁平上皮癌もあるわけである。腫瘍中心の位置という点では後述するSiewert分類(図2)のSiewert type Ⅱとほぼ同一である。

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