人工呼吸器を「スタンバイ」状態のまま装着し、換気の開始を忘れたために患者が心肺停止に陥ってしまった事例が相次いでいる。
日本医療機能評価機構はこのほど、「医療安全情報No.135」を発出し、人工呼吸器の装着後に胸郭の動きなどを見て、換気されているかどうか確認を徹底するよう呼び掛けた。
同機構によると、人工呼吸器のスタンバイ状態を解除しないまま患者に装着し、人工呼吸器の開始を忘れた事例は、2009年11月~17年12月の約8年間に7件が報告されている。
このうち、CT検査のため人工呼吸器からジャクソンリースに変更した際に担当医が人工呼吸器をスタンバイ状態にした事例では、帰室後に他の医師や看護師が患者に人工呼吸器を装着したが、スタンバイ状態に設定されていることに気付かず、約4分後、患者は心肺停止になった。
別の医療機関で発生した事例では、医師と看護師の2人で人工呼吸器をスタンバイ状態にして気管吸引を行った後、人工呼吸器を装着した際、2人とも相手がスタンバイ状態を解除したと誤認し、そのまま人工呼吸器が作動しているか確認しなかった。約10分後に患者は徐脈と低血圧を呈した。スタンバイ状態のままになっていることに気付いたのは、昇圧剤を投与している最中だった。
■生体情報モニターの併用も考慮を
なお、厚生労働省は2001年に発出した通知で、警報機能付きの人工呼吸器を使用していても、患者の血中酸素濃度の低下等の異常を検知して警報が作動する生体情報モニター(パルスオキシメータやカプノメータ)を併用することを推奨している。