冠動脈疾患例に対するスタチンの心血管系(CV)イベント抑制作用はよく知られているが、いずれも服用開始時期は亜急性期以降である。本学会では急性冠症候群(ACS)発症直後からの高用量ストロング・スタチンによるCVイベント抑制作用を検討したランダム化試験“SECURE”が報告された。全体としては無効だったが、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行例では有用である可能性も残された。ブラジル臨床研究所のOtávio Berwanger氏が報告した。
SECURE試験の対象は、ACSを発症しPCI施行予定だった4191例である。スタチン群とプラセボ群にランダム化され、二重盲検法で追跡された。対象の平均年齢は約75歳。30%弱はすでにスタチンを服用していた。
スタチン群ではPCI施行前と24時間後にアトルバスタチン80mgを服用し、その後30日間アトルバスタチン40mg/日を継続した。一方、プラセボ群はPCI前後にプラセボを服用するも、その後はスタチン群と同様、アトルバスタチン40mg/日を30日間服用した。
その結果、1次評価項目である「総死亡・心筋梗塞・脳卒中・緊急冠血行再建術」の30日間発生率は、スタチン群:7.1%、プラセボ群:8.2%(HR:0.88、95%CI:0.69-1.11)で有意差は認められなかった。
ただし、両群とも実際にPCIが施行されたのは65%のみで、8%は冠動脈バイパス術、27%は薬剤治療での経過観察となっていた。そこで実際にPCIを施行した2710例のみで比較したところ、スタチン群における有意な減少が認められた(HR:0.72、95%CI:0.54-0.96)。一方、PCI非施行例のみで比較したスタチン群HRは1.36(95%CI:0.89-2.09)だった。
本試験はブラジル保健省から資金提供を受けた。また報告と同時に(現地時間3月10日)、JAMA誌に掲載された。