【質問者】
秋下雅弘 東京大学医学部附属病院老年病科教授
高齢者と成人の栄養を画一的に管理することにはいくつかの危険があり,年齢を考慮した栄養の考え方が必要です。たとえば,メタボリックシンドロームなどの過栄養対策と,フレイルなどの低栄養対策をどの時点でギアチェンジすべきか,などです。これまた画一的な話はできないわけではありますが,思い切った話をすると,メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病に関係する過栄養対策は65歳未満をターゲットとします。一方で,低栄養と関連するフレイル,サルコペニア対策は75歳以上の後期高齢者をターゲットとします。後期高齢者では体重減少に留意し,かつ十分な蛋白質摂取が必要です。
75歳以上の低栄養対策と65歳未満の過栄養対策の間にいる65~74歳はどうすればよいのでしょうか。この年齢層(前期高齢者)は画一的な指導はなじまず,個別に考える期間と考えます。まだ生活習慣病の重症化予防に力を入れ過栄養への留意が必要な対象者もいれば,既にフレイルに陥っている対象者も混ざっている年代です。
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