No.4900 (2018年03月24日発行) P.38
神崎浩孝 (岡山大学病院薬剤部/運動器疼痛性疾患治療研究センター)
鉄永倫子 (岡山大学病院運動器疼痛性疾患治療研究センター/整形外科/医療安全管理部)
登録日: 2018-03-23
最終更新日: 2018-03-20
リウマチ性疾患の遷延する痛みは,器質的疼痛(侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛)と非身体器質的疼痛によって複雑化した複合型疼痛であり,薬剤選択には痛みのスクリーニングが重要である
トラマドール製剤は侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛に第二選択以降として用いられ,適合者の見きわめは慎重に行うべきであるが,リウマチ性疾患における疼痛治療薬の一選択肢として重要な位置にある
トラマドール製剤の効果を最大化し,最適化するためには,副作用マネジメントを重要視し,アドヒアランスの維持に努める必要がある
リウマチ性疾患は免疫異常,感染,代謝異常など様々な要因によって引き起こされる炎症性の病態であり,原因が不明なものも多く,その病態は多岐にわたる。関節リウマチ(RA),全身性エリテマトーデス,ライター症候群,線維筋痛症などが挙げられるが,中でもRAや線維筋痛症などの痛みは遷延し,慢性疼痛を呈する場合が多く,薬物治療による介入が患者のADL維持・向上のためにも重要である。これらの疾患における疼痛は,遷延するにつれ複雑化し,侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛といった器質的疼痛1)に加えて,非身体器質的疼痛(心因性疼痛など)による複合的な疼痛となる可能性が高い(図1)2)。慢性疼痛は患者のQOLを著しく低下させ,さらには病勢進行にも影響を及ぼす可能性があることから,基礎疾患や病状を考慮しつつ,疼痛は優先的に治療されるべき症状であるといえる。