監修: | 前野哲博(筑波大学病院教授) |
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判型: | 新書判 |
頁数: | 168頁 |
装丁: | 単色 |
発行日: | 2007年03月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-4224-4 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
月刊juniorで大好評の連載「こんな研修医が欲しい!」が単行本化!第1章では全国の臨床研修指定病院指導医に「こんな研修医が欲しい!」をテーマに行ったアンケート内容を再編集して収載、第2章には「こんな研修医が欲しい」をテーマに指導医の生の声をお届けすべく座談会を開催し収載。座談会の随所に、研修医お役立ちコラムも入ってます。4コマ漫画と一緒に楽しく読んで下さい!
第一章 こんな研修医が欲しい! 新人ドクターのマナー&ルール
1 もう学生ではないと自覚する
2 挨拶・返事がきちんとできる
3 読める字で正しく書く
4 プレゼンテーションの重要性を理解している
5 カンファレンスというチャンスを無駄にしない
6 想像力を働かせる
7 決められた時間や規則を厳守する
8 患者さんや周りの人の話を聴く
9 知らないことや間違いを素直に認める
10 ホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)を忘れない
11 自身を振り返り次に活かそうとする
12 学ぶことに貪欲である
13 何事も積極的に取り組む
14 若さという武器を活かす
15 不用意な発言や行動を慎む
16 患者さんを尊敬し人として診る
17 自分が変化し成長していることを楽しむ
18 教えることは学ぶことと理解している
19 打たれ強く、過度に落ち込まない
20 学びたいことを自ら考えそれを意思表示する
21 指導医の気持ちを理解しようとする
22 目の前の技術修得だけにこだわらない
23 報いること(serving)ができる
24 英語ができる
25 夢や使命感を持っている
26 やさしく接し、わかりやすい説明をする
27 チームワークが円滑にできる
28 ごく普通の感性・人間性を備えている
29 深く考えようとする
30 診療の基本を忠実に行う
31 相手の立場に立つ
32 誠実である
33 プロ意識を持って仕事をする
第二章 座談会 こんな研修医が欲しい!
よい研修をするために、よい研修をさせるために
知っておきたいプレゼンの重要性
よいプレゼンとは?
よいプレゼンをするには? させるには?
研修医の芽を摘んでいるのは指導医?
研修医教育とは、指導医が責任を持ってリスクを負うこと
模擬患者さんを通して学ぶこと
研修医には余裕がない!
医師は、自分が人間として未熟であることの不安を自分で抱えられなければ成長しない
スーパーローテーションの問題点
指導医が手本を見せる!
今の研修医は逆境に弱い?
女性研修医を指導する女医さんが少ないという悩み
やはり究極は「誠実な研修医が欲しい」!
医師としてのよい習慣を身に付ける
こんな研修医を作っていきたい!
アンケート協力施設名一覧
巻頭言
本書は、月刊『junior』編集部が全国200余りの施設で研修医を指導している先生方に「どんな研修医が欲しいか」についてアンケートを依頼し、寄せられた回答をまとめて、月刊『junior』第441号(平成17年4月号)〜第459号(平成19年1月号)に連載した「こんな研修医が欲しい!」がベースになっています。折しも新医師臨床研修制度が導入された平成16年の夏にアンケートを実施するなどタイムリーな企画であったこともあり、大変好評を博したとのこと。そこでこの度、紙数の都合で収載しきれなかったアンケートの回答をも含めて、連載終了と同時に単行本化されることになり、月刊『junior』編集部より、現場で臨床研修プログラムのコーディネートに携わっている者として私に監修の依頼があったというわけです。
単行本化するにあたっては、第1章でアンケート内容を再編集して収載しました。またより一層面白味のある書籍に仕上げたいと考え、第2章として本書のタイトルと同じ「こんな研修医が欲しい」をテーマに座談会を開催し、収載しました。指導医の生の声(本音?!)から、指導医がなぜ「こんな研修医が欲しい!」と思うのか、その理由やバックグラウンドなども読み取ってもらえたらと思います。また、本章では「研修医・指導医がともによい臨床研修を目指す」ことを念頭に置いて、座談会の内容から「よい研修をするために、よい研修をさせるために」ポイントと思われるところを抜粋し、コラムとしてまとめました。もちろん、全文をお楽しみいただけたらと思いますが、コラムを拾い読みするだけでも楽しんでいただけると思います。
多くの指導医は、多忙を極める自らの診療業務をこなす一方で、高い使命感を持って日々研修医の指導に当たっています。しかしながら、指導医も人間である以上、「つい教えたくなる研修医」には好感を持ちますし、自分の時間を削ってでも教えたいというモチベーションが高まるのは紛れもない事実でしょう。研修医にとってみれば、どうせ同じ研修を受けるのであれば、いい雰囲気の中で少しでも多くのことを吸収できるほうがいいのは自明のことであり、本書を通じて、指導医が「こんな研修医が欲しい!」と感じる研修医像を研修医自身が知っておくことは大きな意味があると思っています。
また、医師は生涯を通して学び続けることが求められる職業ですから、本書にまとめられたメッセージは、研修医時代に限らず、将来にわたって通用するものばかりだと思います。研修医の皆さんには、職業人としての態度・習慣の基礎が形成される研修医時代に、臨床経験の豊富な先輩からの貴重なアドバイスをしっかりと受け止めて、今後のキャリアに活かしていって欲しいと思います。
医師としての輝かしい第一歩を踏み出した研修医の皆さんにとって、本書が少しでも役立つものであることを心から願っています。
筑波大学附属病院総合臨床教育センター 病院教授 前野哲博