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神奈川県内の介護施設における産業保健活動の実態調査 [学術論文]

No.4720 (2014年10月11日発行) P.43

和田耕治 (独立行政法人国立国際医療研究センター国際医療協力局)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • 介護施設職員に対する産業保健活動としては,感染症対策が最も優先度の高い課題として挙げられ,手洗いの励行やインフルエンザの予防接種はほとんどの施設で行われていた。B型肝炎の予防接種については8%の施設でしか対応されていなかった。腰痛対策の優先度はやや低く,腰痛予防のための職員教育が行われていた介護施設は63%,腰痛予防体操が行われていた介護施設は17%であった。自由回答では,介護施設に特化した産業保健のガイドラインなどを示してほしいといった要望が多かった。衛生委員会の開催,衛生管理者や産業医の選任と活用は多くの施設で行われていた。介護施設向けの産業保健に関する情報や教育プログラムを充実させることは,介護現場の改善に寄与する可能性がある。

    1. 介護施設における産業保健活動の実態を明らかにする

    超高齢社会で介護施設の重要性がさらに高まる中,職員に対する産業保健活動も推進していく必要がある。近年,介護職の離職増加が社会問題化しているが,その改善のためにも産業保健の視点は重要である。また,高齢者介護などを行う社会福祉施設での腰痛発生件数の大幅な増加も課題となっており,平成25(2013)年6月18日に厚生労働省より公表された「職場における腰痛予防対策指針」では,介護・看護職についてより充実した内容となった。また,独立行政法人労働安全衛生総合研究所から「介護者のための腰痛予防マニュアル」が示されるなど,しだいに関連する情報も増えつつある。しかし,介護施設における産業保健活動の実態は十分に明らかにされていない。

    本研究は,神奈川県内の特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設における産業保健活動の実態を明らかにすることを目的とした。

    2. 調査方法

    神奈川県のホームページに2013年1月15日現在で登録されていた特別養護老人ホーム(n=342),介護老人保健施設(n=178)のすべてに対して,郵送法による無記名の質問票調査を行った。調査は2013年2月に行われた。質問票では,産業保健に関する9の課題において,3段階の優先度(高い,中程度,低い)(表1)と,それぞれの活動実施状況について尋ねた。

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