厚生労働省は7月30日、医学生が実施可能な医行為を27年ぶりに整理検討した報告書を全国に通知した。
これまで医学生が行う臨床実習は、厚生省(当時)の「臨床実習検討委員会」(委員長=前川正群馬大学長)が1991年にまとめた報告書(通称、前川レポート)に基づき医行為が実施されていた。しかし、前川レポート策定からすでに27年が経過し、医療の技術は飛躍的な進歩を遂げ、医学生が経験・修得すべき医行為も多様化してきたことを踏まえ、国際潮流となっている診療参加型臨床実習をさらに進めていくため、厚生労働省研究班(研究代表者=門田守人日本医学会連合会長)が改めて臨床実習における医行為について整理検討を行った。
報告書は「診察」「一般手技」「外科手技」「検査手技」「救急」「治療」の6分野の中で医学生に許容される医行為について、「臨床実習中に開始されるべき必須項目」と「臨床実習中に開始されることが望ましい推奨項目」に2分類して例示した。
医師法上の考え方に関しては、前川レポートを踏襲。①侵襲性のそれほど高くない一定のものに限定、②指導医によるきめ細かな指導・監督の下で実施、③事前に医学生の評価を実施、④患者等の同意を得て実施─という条件下で行う場合には、医師法上の違法性はないと整理した。 一方、「現状、どこまでの医行為が違法性阻却に該当するか臨床現場では不明確」と問題視し、「医学生が行うことができる医行為のより一層の明確化と現場への周知を図るために、一定の法令上の対応を行うことが必要」と指摘した。 患者の同意については、臨床実習で医学生が行う医行為の範囲を示した上で、患者から「包括同意」を文書か口頭で得ることを求めた。 報告書は厚生労働省ホームページに掲載されている。
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000341168.pdf
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