厚生労働省の「『授乳・離乳の支援ガイド』改定に関する研究会」(座長=五十嵐隆:国立成育医療研究センター理事長)の初会合が9日に開かれ、妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者向けの支援ガイドについて、2007年に策定された現行版からの見直し作業を開始した。同省は年度内をメドに議論を取りまとめ、自治体と医療機関に周知する方針。五十嵐座長は、医療的ケアを要する人の増加や若年層の経済的貧困率の高まりなどを指摘し、新たなガイドに反映する必要があるとの考えを示した。
会合では、乳幼児の栄養管理に関する厚生労働省研究班の代表者を務めた楠田聡氏(杏林大客員教授)が、最新の知見に基づき、ガイド改定への提言を行った。
母乳栄養によるアレルギー疾患の予防効果については「明確なエビデンスはない」とし、乳蛋白質調製粉乳やペプチドミルクがアレルギーを予防するといった指導は「避けなければならない」とした。妊産婦や授乳婦が児のアレルギー予防のために食事を変更しなければならないとの説に対しても「証拠はない」と断じた。
また、母乳の利点を啓発することは「肝要である」としつつ、母乳の良さを強調するあまり養育者を追い詰めることのないよう配慮を求めた。