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腎疾患 [今日の新しい臨床検査─選び方・使い方(7)]

No.4775 (2015年10月31日発行) P.40

監修: 前川真人 (浜松医科大学医学部臨床検査医学教授)

北島信治 (金沢大学附属病院腎臓内科)

和田隆志 (金沢大学大学院医薬保健学総合研究科血液情報統御学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-09

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  • 1. 腎疾患の検査の進め方

    腎疾患の検査の進め方において重要なことは,まず,問診や身体診察から内科的腎疾患か泌尿器科的疾患かを鑑別として考え,検査を進めていくことである。内科的腎疾患の場合,①発症が急性か,慢性か,②腎に限局しているのか(一次性腎疾患),あるいは全身疾患に伴う徴候であるのか(二次性腎疾患),③腎のどの部位が障害されているのか,をそれぞれ念頭に置くことが重要である。泌尿器科的疾患の場合には,障害部位の解剖学的部位にしたがって診断を進めることが重要である。発症様式や病態に関して,近年では急性腎障害(acute kidney injury:AKI),慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念が提唱され,普及してきている。

    1 AKIの定義

    AKIはKDIGO(kidney disease:Improving Global Outcomes)による2012年のガイドラインでは,①48時間以内に血清クレアチニンが0.3mg/dL以上上昇する,②7日以内に血清クレアチニンが前値の1.5倍以上に増加する,③6時間の尿量が0.5mL/kg/時未満に低下する,のいずれかを満たす場合と定義される1)
    重症度は,血清クレアチニンと尿量により評価される。KDIGOによるAKIのstage分類を表1,診断のアルゴリズムを図1に示す1)。AKIの原因が除去され,その程度が軽度である場合には,腎機能は改善するが,重症例においては現在においても腎死および個体死をきたす率も高い病態である。早期の段階で診断し,治療を開始することにより予後改善が見込まれる。



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