【手術を安全,確実に施行するため,5ポートを基本とする】
小児の先天性囊胞性肺疾患に対する完全胸腔鏡下肺切除術(本術式)は,狭い胸腔内に加えて囊胞肺により胸腔が占拠されるため,術野確保に困難をきわめる。また,肋間が狭いため鉗子操作にも制限がある。手術を安全,確実に施行するためには,内視鏡手術に精通し,解剖に関しても十分な理解が必要である。以下,当科で行っている本術式の概要を述べる。
小児麻酔科医により,気管支鏡下にFogartyカテーテルを用いた気管支ブロッカー法で,分離肺換気による健側肺の一側肺換気とする。第1ポートはclosed techniqueを用いて挿入し,ポート周囲の空気漏れを最小限にする。5ポートを基本とし,カメラを適切なポート位置に入れ替えながら常に良好な視野を確保する。また,助手のサポートを得ながら,術者は常に両手をフリーにして手術操作を行うことが肝要である。術前に囊胞感染の既往のある症例や分葉不全を伴う症例でも,本術式により安全,確実な手術が可能であった。癒着による視野不良や出血のコントロールがつかない場合には,躊躇することなく開胸手術に移行する必要がある。
本術式は,患児の痛みが少ないことが最大のメリットであり,術後の回復は目覚ましく,術後2,3日で退院可能となる症例も少なくない。技術的に高難度の手術であるため,標準治療として普及するまでには時間を要することが予想されるが,従来の開胸手術,胸腔鏡補助下手術と比較し整容性にも優れ,患児にとってメリットの大きい術式であると考える。
【解説】
末吉 亮 順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科